従来の中国語解説書とは視点を変えて、日本人ならではの中国語解読法を、なるべく初心者の方にもわかりやすく言語化&推敲しています。2020年度内の教科書化を目指しています。
使う記号は、たったの3種類。
- <
- –
- [ … ]
最初はなんのことやらさっぱりかもしれませんが、把握できると非常に便利です。
この後の具体的説明を一読していただくとわかるのですが、漢文訓読の返り点(「レ点」と「一二点」)の機能を、現代中国語にも実装しようという試みです。
記号の具体的説明
<
「<」の記号は、「1単語飛ばしてすぐ返る」という意味です。
例文
この場合、まず最初の「他(彼は)」を訳してから、次の単語を見ると後ろに「<」の記号があるので、もうひとつ次の単語「日本人(日本人)」を訳してから「是(です)」に戻ると、「彼は日本人です。」という訳文が出来上がります。
「<」は、漢文訓読の「レ点」に相当する考え方です。ただし、「レ点」は【1文字】返るものであるのに対して、「<」は【1単語】返るものであると言う違いがあります。
難しいことは考えなくても良いのですが、一般的な中国語参考書との相互参照性を担保するために、どのような文法構造に対応しているかを説明しておきます。
この記号を挟んで向かい合う2つの言葉は、以下の関係にあることが多いです。
- 述語と目的語の関係我私は去行く中国中国へ。私は中国へ行く。
- 介詞と目的語の関係他彼は到まで中国中国去行く。彼は中国まで行く。
- 否定する言葉と否定される言葉の関係我私は不ない去行か。私は中国へ行かない。
- 能願動詞(助動詞)と動詞の関係我私は想たい去行き。私は中国へ行きたい。
- 形容詞と程度補語の関係慢ゆっくり点少し走歩いて。
また、2つ以上の「<」が連続して用いられる場合がありますが、上であげた関係の組み合わせになります。
- 否定+述語+目的語我私は不ない去行か中国中国へ。私は中国へ行かない。
- 否定+助動詞+述語+目的語我私は不ない想たく去行き中国中国へ。私は中国へ行きたくない。
–
「-」の記号は、「2つ以上の単語をひとかたまりとして捉える」という意味です。
「<」や[ … ]と組み合わせて使います。
例文
[ … ]
[ … ]の記号は、「1単語飛ばして、[ … ]の中を訳し終えてから返る」という意味です。
例文
この場合、まず最初の「这(これは)」を訳してから、次の単語を見ると後ろに「[」の記号があるので、1文字飛ばして[ … ]の中身を先に訳してしまいます。つまり、「我(私)」「的(の)」「苹果(りんご)」の順に訳をつけてから、「是(です)」に戻ると「これは私のりんごです。」という訳文が出来上がります。
なお、[ … ]の中身が長くなればなるほど戻る箇所がわかりづらくなるので、戻る箇所には下線を引いておきます。
[ … ]は、漢文訓読の「一二点」に相当する考え方です。
これも難しいことは考えなくても良いのですが、一般的な中国語参考書との相互参照性を担保するために、どのような文法構造に対応しているかを説明しておきます。
「[」の前の単語と、[ … ]の中身とは、以下の関係にあることが多いです。
- 述語と目的語フレーズの関係我私は去行く中国 和 日本中国と日本へ。私は中国と韓国へ行く。
- 動詞と時量補語の関係我私は睡眠っ了た八 个 小时8時間。私は8時間眠った。
また、実際には[ … ]の中に「<」や「-」が組み合わさったものが入っている場合が多いです。
- 「想(したい)」の内容に介詞+目的語の構造が含まれている場合我私は想たい到まで中国中国去行って看看見てみ。私は中国まで行って見てみたい。